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直接検査
直接検査は、検査者が一定の課題を子供に提示し、その結果を観察するという方法です。一人一人の子供の発達状況や行動特性を理解し、発達支援を行う手がかりにしていく広義の臨床診断を目的にしています。検査という場面で、子供の緊張を少なくし、要求に対する適応を高めるために、検査道具に工夫をこらしているのが通常です。
(1)新版K式発達検査2001
0カ月~14歳を対象とし、姿勢・運動、認知・適応、言語・社会の3領域に渡り、全般的進みや遅れ、バランスの崩れをとらえることができます。
結果は発達年齢(DA)、発達指数(DQ)、プロフィールで示されます。
(2)WISC
ウェクスラー知能検査の1つです。5~16歳を対象として、一般知能を全検査IQ、言語性IQ(VIQ)、動作性IQ(PIQ)と下位検査プロフィールにより表示し、個人内差からから分析を行い、学習指導に生かす資料を提供できます。言語理解(VC)、知覚統合(PO)、注意記憶(FD)、処理速度(PS)という群指数による発達特徴も把握できます。
(3)K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー
2歳~12歳を対象としています。子供の知的活動を認知処理過程として継次処理と同時処理に分類し、子供の得意な認知スタイルを知り、指導に役立てることを目標にしています。
(4)田中ビネー知能検査
ビネー式知能検査の1つです。WISCのように下位検査ごとに実施し、結果を処理するという分析的考え方をとらず、14歳未満までは、「知能は個々の能力の寄せ集めではなく1つの統一体である」というビネーに知能観を踏襲し、一般知能を包括的にまとめて測定しようとします。
2歳から成人までが適応年齢である。14歳以上では、精神年齢を算出せず、もっぱら偏差値知能指数だけ求めるようになっており、結晶性、流動性、記憶、論理推理の4分野についてそれぞれ偏差値IQを算出することができます。
間接検査
主として、養育者の日常観察に基づいて、質問紙に記入したり、検査者が聴取して回答を得る方法です。
1)遠城寺式乳幼児分析的発達検査
1カ月~4歳8カ月を対象にしています。
全運動(移動、手の運動)、社会性(基本的習慣、対人関係)、言語(発語、理解)の3分類6分野から構成されています。分野ごとの発達指数とプロフィールを表示します。養育者からの聴取項目も多く含まれており、主観に偏りやすい傾向があります。
2)乳幼児精神発達診断法
0~7歳を対象にしています。1~12カ月までは、運動、探索・操作、社会、食事、理解・言語の5領域に分けています。1~3歳はその5領域に加えて、大人との相互交渉、子供との相互交渉、排泄・生活習慣などが入ります。質問項目の行動ができるかを養育者に聞き、各領域から総合的かつ網羅的に理解しようとするものです。
ビネー式知能検査やウェクスラー式知能検査との相関性が乏しいので、発達指数を計測しないことになっています。
3)生態学的調査法
ICF(国際生活分類)によって示されているように、障害を個人因子と環境因子との相互作用としてとらえ、社会的な活動への参加を可能とする支援を提供することを基本的な考え方としている。
ブラウンらは、生態学的な視点を持つアセスメント法として、生態学的調査法を開発した(Brown et al. 1979, 下表参照)。
ステップ | 内容 |
1.支援の対象とする生活場面を同定 | 子供が意味のある活動をしている主要な生活場面を同定。家庭、学校、遊び場 |
2.日常的な活動をしている環境を記述 | 子供が活動している場面での環境を記述する。 |
3.環境を下位分類 | 子供が活動している環境を下位分類する。 |
4.下位分類された環境での活動を同定 | 下位分類された環境で行われる活動や参加の状況等について、観察とインタビューによって同定。 |
5.その活動に必要なスキルを分析 | 課題分析により活動を指導可能な単位やスキルに分類、分析。 |
代表的検査法の検査項目
K-ABC心理教育アセスメント
尺度 | 尺度 | 下位検査名 | 適用年齢 |
認知処理過程尺度 | 継次処理尺度 | 手の動作 | 2歳6カ月~ |
” | ” | 数唱 | 2歳6カ月~ |
” | ” | 語の配列 | 4歳0カ月~ |
” | 同時処理尺度 | 魔法のまど | 2歳6か月~ 4歳11か月 |
” | ” | 顔さがし | 2歳6か月~ 4歳11か月 |
” | ” | 絵の統合 | 2歳6か月~ |
” | ” | 模様の完成 | 4歳0か月~ |
” | ” | 視覚類推 | 5歳0か月~ |
” | ” | 位置探し | 5歳0か月~ |
習得度尺度 | 表現ごい | 2歳6か月~ 4歳11カ月 | |
” | 算数 | 3歳0か月~ | |
” | なぞなぞ | 3歳0か月~ | |
” | ことばの読み | 5歳0か月~ | |
” | 文の理解 | 6歳0か月~ |
WISC検査項目
言語性検査 | |
知識 | 一般的な知識に関する質問をしてそれに言葉で答えさせる |
類似 | 共通の概念を持つ2つの刺激語を口頭で呈示し、どのように類似しているかを答えさせる |
算数 | 算数の問題を口頭で呈示し、暗算で答えさせる |
単語 | 単語(刺激語)を口頭で提示し、その意味を応えさせる |
理解 | 日常的な問題の解決と社会的なルールなどについての理解に関する一連の質問をして、それに口頭で答えさせる |
数唱 | 数系列を聞かせ、それと同じ順序あるいは逆の順序でその数系列を答えさせる |
動作性検査 | |
絵画完成 | 絵カードで欠けている部分を指差しかことばで答えさせる |
符号 | 幾何学図形または数字と対になっている簡単な記号を書き写させる |
絵画配列 | 短い物語を書いた数枚の絵カードを、物語の順に並べさせる |
積み木模様 | モデルとなる模様を呈示し、決められた数の積み木を用いて同じ模様をつくらせる |
組み合わせ | 複数のースを組み合わせて具体物のかたちを完成させる |
記号探し | 刺激記号が記号グループの中にあるかどうかを判断させる |
迷路 | 迷路の中央から出口まで壁を突き抜けないように迷路に線を引かせる |
新版K式発達検査法の検査項目例
年齢 | 1:0超~1:3 | 1:3超~1:6 | 1:6超~1:9 | 1:9超~2:0 |
姿勢運動 | 歩く2・3歩 | 両足跳び | ||
姿勢運動 | 片手支持登る | 片手支持降りる | 手すりで昇り降り | |
認知・適応 | 積木の塔2 | 積木の塔3 | 積木の塔5 | 積木の塔6 |
認知・適応 | 丸棒例後1/3 | 角板例後1/3 | 角板例前 | |
瓶から出す | ||||
円盤回転 | はめ板全例無 | 形の弁別I1/5 | ||
なぐり書き例前 | 円錯画模倣 | |||
予期的追視 | 入れ子3個 | |||
包み込む | 2個のコップ2/3 | 3個のコップ2/3 | ||
言語・社会 | 指差し行動 | 語彙3語 | 身体各部3/4 | 絵の名称I3/6 |
絵指示4/6 |
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